“いま沖縄が熱い”本島一周の旅(2)


本島北東部を行く



名護市から国道58号線を北へ。
辺戸岬までは青い海、白浜や岩礁の続く美しい風景の中を走る。
北東部の森、特別天然記念動物「ヤンバルクイナ」の生息地を抜け、熱帯の植物
マングローブが密集する川辺を眺めながら、西海岸地帯とは異なった風景の中の
ドライブだ。

さらに沖縄自慢の海の中にかかる橋「海中道路」を東端の伊計島まで走った。



<コース>
那覇市から高速道路経由名護市-(国道58号線)-オクマビーチ-辺戸岬-(県道70号線)

-安田(あだ)-安波(あわ)-慶佐次(けさじ)-(高速道路)-石川市-

(県道75号線)-具志川市-(県道10号線海中道路)-伊計島( 300km)


 高級リゾートの「万座」は全日空が開発したが、「オクマ」は日本航空の開発ビーチだ。


どちらも白い砂浜にホテルとコテージが並びプール、ゴルフをはじめさまざまな施設を整え


たリゾート。各種のマリンスポーツも楽しめる。


エメラルドグリーンの海に真っ白い砂。ビーチパラソルに白いデッキチェア、ビキニ姿の若い女性とい

うシーンは、南太平洋の島でのひとこまをみているようだ。

●辺戸岬

●オクマビーチ


沖縄観光WEBから)

オクマビーチを過ぎると、交通量もめっきり少なくなる。珊瑚礁の海を眺めながら岬へと向かう。島北部は、地元では「やんばる(山原)」という。国の特別天然記念物である鳥「ヤンバルクイナ」

の生息地だ。全長30cmほどで額から頭上にかけて灰褐色、喉や顔は黒く、目の下から後ろへと白く線

がある。

長くがっしりとしたくちばし、赤みがかった太い足を持つ。


ヤンバルクイナの生息する北部の森

飛べない鳥で森林内の湿地、沢地を生息地にしている。夜間は太くて丈夫な足で木に登って寝る。
昭和56年(1981)クイナ科の新種として発表された。沖縄本島のみに分布、とくに北部の山地に

生息している。



ヤンバルクイナをかたどった展望台。
トロイの木馬のようで笑わせる


辺戸岬の手前「茅打バンタ」は約70mの断崖の上から海を見下ろす景勝地だ。
そこから間もなく沖縄最北端の辺戸岬に着く。遙か海の彼方に鹿児島県の与論を望む。眼下、崖の下

は珊瑚礁に波打つ青い海が広がっている。

振り向けば巨大なヤンバルクイナの像が立っている。「ヤンバルクイナ展望台」だ。
像の中には階段がありクイナの胸元あたりにのぞき窓がある。この窓から右に太平洋、左手には東シナ

海が一望できる。


●県道70号線を行く

辺戸岬から東村までの約70km。この東海岸は、曲がりくねった山道が続くが、最近は道路も整備され

「ヤンバルの森」の自然を満喫できる快適なドライブ。

岬を廻って間もなく、砂浜の見える海岸線へと出た。夏には地元の人の海水浴場らしく、浜へと降り

る階段もあった。浜に釣り人を見かけた。珊瑚礁に囲われた遠浅の浜だった。

北東部は車も少なく、意外と景観もいい

   


北東海岸は静かで美しい

 

西海岸とは異なり交通量も少ない。そしてほとんど民家もない道を、人恋しさもてつだって漁港、安田(あだ)を訪ねた。
安田は県道70号線をそれて海岸へと走る。村に入ったところには公民館があり、その敷地にある茅葺きの待合い所のような

建物が「安田のアサギ」だった。そばには「国指定重要無形民俗文化財・安田のシヌグ」と書かれた石碑があった。石垣に

囲われた古い家、パパイアの畑の中の民家、小さな漁船が数艘停泊する港、漁業組合のような建物、また公民館や駐在所の

どこにも人影がない。
待つこと30分、公民館の女性事務員が外出から戻ってきたので「民俗無形文化財」について尋ねた。
「国頭村安田のシヌグ祭」といい、300年前から伝わる伝統行事で、「アサギ」は8月の最初のイノシシの日に12人の女性が

神に祈る場所だと教えてくれた。

 


村の中心、安田公民館の庭にあるシヌグ


安田のシヌグ、
国指定重要無形民俗文化財の碑

 

安田から再び県道へ戻ると間もなく、なにもなかった山の中に立派なホテルが建っていた。これより安波の集落を抜け、安波ダム、クイナ湖、新川湖へ立ち寄りながら「やんばるの森」の深さに驚かされながらのドライブだ。

 


安波の斜面に建つ家


快適なドライブウェイ(安波ダム近く)


●慶佐次(けさじ)のマングローブの林

県道70号線が国道331号線に出合う東村から約3km、東海岸沿いにマングローブの林を見る。マングローブとは亜熱帯や熱帯

の河口などの泥地に発生するヒルギ科などの樹木からなる。

 


マングローブの入り江とカヌー。
沖縄ならではの遊び


マングローブの根本。魚の産卵所でもある

 


根を露出させる巨木


マングローブの花

 

かつては珍しくもなかった本島のマングローブの林も、近年の開発によって失い、いまでは慶佐次の林が本島で最大ともいわれる。水中に張る無数の根の間には多くの生き物や、マングローブの林に続く深い森にはヤンバルク

イナなども生息している。天然記念物であるマングローブの林を観察するカヌーツアーがある。
連絡先「やんばる塾」


●伊計島へ


海中道路。橋が島をつなぐ

 

気縄の花々


ハイビスカスはあちこちに


道端の花

 


色鮮やかな花


ドラゴンフルーツ

 


パイナップル畑


パパイヤ


●浜比嘉島

周囲約6kmの島。島の北にある集落は石垣とフク木に囲われ、その集落の奥には地元の神、琉球開闢(びゃく)祖神、アマミチュ

ー、ルミチューの居住したところと伝えられる大きな洞穴がある。毎年、比嘉のノロ(祝女)が中心となって、浜から拾ってきた一つ

の石を洞穴内にうやうやしく納める行事がある。苔むした長い石段脇に「ハブに注意」とあった。

 また東の浜には、美しい白砂の海水浴場がある。
白い砂浜、珊瑚礁に群れる色とりどりの熱帯魚が戯れる海には危険も潜む。毒を持つウニや魚などだ。
とくに危ないのは6月から9月にかけて沖縄の海でみられる“ハブクラゲ”だ。ハブの毒の数倍の猛毒をもつという。大きさは10センチほどだが、傘が透明なので気がつきにくい。万一刺された場合は患部に食酢をかけすぐに病院へ。
監視人などの目の届かない海岸には食酢を入れた箱が置かれたところもある。この島の小さな浜にも食酢入り箱があった。

 


静かな浜比嘉島のビーチ


開闢(びゃく)の祖神を祭った神社

 


クラゲに刺されたら酢を。
標識と酢を入れた箱があった


●伊計島


伊計島の白泊ビーチ

 

島の中央部に縄文時代のムラ跡が一部復元された住居と湧き水がある。
土地改良事業の折に土器の鉢、壺、石斧、骨製の針や獣の骨、貝殻類が発掘された。その結果、縄文後期(約2500~2000年)のもの

と判明され「仲原遺跡」として昭和61年(1986)に国指定史跡となった。白泊ビーチの近くだが、広いサトウキビ畑の中にあるので

わかりにくい。

 


復元された伊計島の仲原遺跡


伊計島のサトウキビ畑