![]() ![]() 中尊寺の門前には弁慶の大きな墓石がある 秋の行楽地を求めて東北自動車道を走った。雨に似合う風景といえば古い町並みや由緒ある神社仏閣だが、 好天を期待して水沢から陸中海岸へと取材地を決めた。 のおいしい季節である。義経伝説や南部藩の歴史探索、まもなく実る米や果実、三陸に水揚げされる魚介 類の味覚を楽しもうと旅に出た。今回は中尊寺と南部鉄の町水沢を巡った。 秋の行楽地を求めて東北自動車道を走った。雨に似合う風景といえば古い町並みや由緒ある神社仏閣だが、 好天を期待して水沢から陸中海岸へと取材地を決めた。 のおいしい季節である。義経伝説や南部藩の歴史探索、まもなく実る米や果実、三陸に水揚げされる魚介 類の味覚を楽しもうと旅に出た。今回は中尊寺と南部鉄の町水沢を巡った。 ![]()
![]() ●雨の古刹 中尊寺 東北自動車道を北上、約100km、平泉前沢ICを出る。まもなく中尊寺の境内下の駐車場に着く。 大粒の雨も小雨に変わり、しっとり濡れる緑の木立の中を平泉町営駐車場から国道4号線を挟んで 月見坂を登る。
天治元年(1124)に建立、天台宗東北大本山で、藤原清衡の造営。全盛期は堂塔四十余、禅坊三百を超える
規模だったという。だが度重なる火災で建立当時から残るのは藤原四代の廟である「金色堂」のみだ。
ように巨木や老木が被う。また深い苔の緑が、昔を語る。雨に濡れた鮮やかな緑も美しいが、落葉樹の多い
木立は紅葉の季節は饒舌に古を語るだろう。
池に映える峰薬師堂 杉並木越しに中尊寺本堂の屋根 中尊寺本堂 14世紀に諸堂を焼失して以来、明治42年(1909)に再建された本堂中尊寺の中心だ。堂内には1200年ほど灯り続けている
“不滅の法燈”がある。天台宗の総本山である比叡山は延暦寺より分火されたものである。いまも法要はここで行われる。
参道は杉、楓の並木 参道脇に洒落た茶屋 大日堂、鐘楼、阿弥陀堂などの奥には釈迦堂や能楽堂があり、松尾芭蕉が“奥の細道”道中で
「五月雨の 降残してや 光リ堂」
と金色堂を詠んだ句碑や芭蕉の像もある。
![]() 大日堂 ![]() 芭蕉の像(左)と旧金色堂覆堂 ![]() 能楽堂 金色堂 平安後期の阿弥陀堂建築で、藤原四代の廟。芭蕉が詠んだように光堂とも呼ばれ、床や天井、壁面まですべてを 金箔で飾られ、四本の巻柱は七宝がはめ込まれている。堂内中央には初代藤原清衡、左は二代基衡、右は三代秀衡 の遺骸と四代泰衡の首が収められた須弥壇(しゅみだん)があり、各壇上には本尊阿弥陀如来を中心に11体の仏像 が安置されている。 ![]() 金色堂(覆屋の中にある) 建物屋根は美しい曲線 江戸時代から幾度となく修理が行われてきたが、明治と昭和の数回にわたる大補修に 昭和26年(1951)、文化財保護法により国宝建造物第一号に指定された。昭和25年 (1950)須弥壇に安置された藤原四代公の学術調査が行われた。この調査により四代 泰衡の首桶から発見されたハスの種が平成10年に開花に成功、「中尊寺ハス」とし て話題を集めたのを記憶している人も多いだろう。以降初夏には清楚な花を咲かせて いるという。 建当時の輝きを取り戻した。現在、外から見える建物は、金色堂を包む覆堂だ。内部 は残念ながら撮影禁止だ。 ![]() 苔・杉・灯籠… ○讃衡蔵(さんこうぞう) 中尊寺の17ヶ院に伝わる秘宝や資料を集めた宝物庫で清衡、基衡、秀衡三代をもって名付けられたもので国宝や 重要文化財3000点余りを収蔵している。必見は永久5年(1117)から8年をかけて清衡が書写した“紺紙金字交書 一切経”だ。日本写経史上の頂点といわれている。 の滅亡後、兄の頼朝に追われ藤原秀衡を頼りここ平泉に落ち延びてきた。 しかし、義経の庇護者であった秀衡はまもなくこの世を去り、頼朝の力に屈した四代泰衡は義経を攻めた。北上川ほとり の高台衣川館にいて急襲を受けた義経は、館に火を放ち妻子とともに自害した。その衣川館が現在の「高館義経堂」だ。 ている。 ![]() 参道から衣川を望む ![]() 参道入り口には土産物屋が賑やか このほか平泉には平安時代の庭園遺跡がほぼ完全に残るという「毛越寺(もうつうじ)」、弁慶の墓などもある。 ●南部鉄瓶(南部鋳物)の町 水沢 水沢は南部鉄瓶のふるさとだ。東北新幹線水沢駅西口の羽田町一帯には約60余もの鋳物工場が点在する。 となる伝統的な鋳物の産地である。後に伊達藩の保護のもとに大きく発展し、明治中期には鍋釜などの日用品の生産 地として東北一を誇っていた。 ![]() 水沢は南部鉄の町(新幹線駅前) 戦後は再び日用品鋳物から南部工芸鋳物産地として復活。現在は鋳物が美術品にまで高められ、それぞれ著名 な作者により新しい鋳物作品が、生み出されている。駅前の伝統産業会館には各工房で作られた作品が展示さ れている。また製造過程を人形を使って教えてくれる。 ![]() 昔の鉄加工。人形がその様子を見せている 若い人の中には鉄瓶といってもピンとこない人もいるかもしれないが、炭火に鉄瓶でゆっくり湧かした湯は 水道のカルキの匂いも消してやわらかくうまい。その上、鉄分が含まれていて健康にもよい。 ![]() 北上川 |