![]() ![]() エーゲ海一帯で見かける古代のガラス。 このグラスを“1ドル”で買ったのは、確かトルコ2度目の旅だったと思う。 最初は1960年代の初め頃ポルトガルのリスボンからインドのカルカッタ(現・コルカタ)までの初期のコロナ・マークⅡで走った。2度目は1960年代の半ばでクウェートからサウジを少し走り、イラクのバスラ、トルコ・アンカラ、南下ったコンヤ、地中海沿岸へ出て、2023年に大地震のあったアデナ東方、シリア国境で折り返し、黒海沿岸へ走るという行き当たりばったりの旅。この時のクルマはカローラだった。 ヒッタイトの遺跡も見たが、平原に丘を作り、中に木材を組んだ墓が印象的だった。今は草原だが、当時は森林が近くにあったことを暗示していた。日本人研究者がアンカラで足が無くて困っていたので、遺跡の案内を頼む代わりにトルコ中央部のコンヤ近郊のヒッタイトの遺跡を案内してくれると言うのだった。”出たとこ勝負”みたいな旅だったが、その後のトルコの旅にも聞きかじりの知識が大変やくにたった。その後、3度か4度、トルコを走っているので、さて、引き出しの中に放り込んでおいた写真のガラス容器を見つけても「目の前に小さな島のある遺跡で芦の小屋でお茶を飲んだとき、子供が島で潜って拾ってきた、と言うのを「1ドルで買ってくれ」と言うので、買った記憶はある。 ![]() 年を経てトルコの地中海沿岸は様変わりの発展振りなので、石柱がゴロゴロ転がっていた遺跡を探しても、全く分からない。アデナの近辺かなー、と思うくらい。60年代の初めだったか、こんなふわふわに軽いガラス容器は珍しい。国立博物館へ出向き、研究員に見て貰ったら「ローマングラスです」と言って、中の砂を欲しがったので上げたのを記憶している。 今あるのは左から2つめの首の長い香料入れのような物と、二つ重なっている下の方の白っぽいコップ状のグラスだ。共にニューヨークのメトロポリタン博物館、英国の大英博物館に“そっくりさん”が展示してあった。持ってみるとふわふわに軽い。年代物には違いない。何年か前に捨てるわけにも行かず、幾つかの博物館に「上げます」と連絡したが、信用されなかったようで、要らないという返事だった。捨てるわけにも行かず、どこかの引き出しに突っ込んである。 鑑定者がロマングラスと保証したわけじゃなし、いずれは博物館みたいなところで"参考展示”にでもしてくれると良いけど、やはりゴミとなる運命かな。もったいないけど素性が知れないのではやむをえないかな。いっそのことトルコ大使館にでも持っていって、事情を話し、引き取って貰うのも悪くはない、などと思っている。 |